長谷川眞理子・山岸俊男『きずなと思いやりが日本をダメにする』
本書は、行動生態学・進化生物学者の長谷川眞理子氏と、社会心理学者の山岸俊男氏との対談本です。はじめはタイトルにぎょっとさせられたのですが、山岸氏の著作は以前読んだ『信頼の構造』が非常に面白かったことを記憶していたので、とりあえず購入してみました。内容は非常に面白かったです。なぜ人間は社会を作るのか、社会はどのような特徴を持つのか、そして社会を変えるにはどのようなアプローチすべきかについて、非常に説得的な議論が展開されています。特に、現状の描写に留まらず、人間という種や社会の形成の契機といった観点から、きちんとメカニズムが提示されている点が面白い。以下個人的に重要だと思った4つの点について記録します。
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稲葉振一郎『社会学入門』
稲葉氏の著作は今回初めて読みました。この方はどういう方なのでしょうか、よくわかりません。というのは、本書はタイトル通り社会学の入門書なわけですが、『経済学という教養』、『「資本」論』といった経済学系の著作もあり、また先月には『政治の理論』という政治学系の本を上梓されています。この『政治の理論』のあとがきを見ると、著者自身にも経済学・社会学・政治学のそれぞれの分野で入門書を著したいという野心があったとのことですから、意図してこのように多様な分野を扱っておられるわけです。社会学部を卒業しておられながら、大学院は経済学研究科、専攻は社会倫理学・・・。あれこれ多様な分野に興味だけはある筆者から見ると、ものすごく興味をそそられる方です。
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